夜おそってくる津波

眠る前あたりによくあることなのだが、過去の記憶が急によみがえって「あの時なんでこんなこと言ってしまったんだろう」「あそこでこういう返しをすればよかった」という激しい後悔の念に襲われることがある。ずっとうなされてるわけではない。ほんの一瞬。しかしその波はすごいでかくて、思わず「ううっ…」と声が出るようなレベルである。波がひいたあとも体にその余韻がじんわりと残っているような。

 

こういうの、みんな経験しているのであろうか。

後悔することは誰しもあるだろうが、この津波のように暴力的な念に襲われる人はそんなには多くないような気がする。俺はそれをやり過ごすことができるからまだマシなのかもしれない。人によってはそれに飲み込まれて苦しむ人もいるのだろう。

 

山田太一のドラマ「ありふれた奇跡」の中で、まさにこういうシーンがある。主人公(加瀬亮)が昼間仕事をしているときに急に「ううう…」となって、思わず手が止まるというシーン。ドラマであんなのは見たことがなかったので、やっぱり山田さんはさすがだと思った。あれはああいう経験をした人間にしか書けない。

 

そういうのを考えると、その津波に流れてしまったら元も子もないが、それに耐えることができれば、その経験は自分の感覚を何かしら鋭敏にさせる糧となるのかもしれない。

 

というか、そう思うしかない。

 

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特集を担当したドラマ「まほろ」がスタート。ほんのりといいドラマだと思う。

エンディングで流れてくる、坂本さんの「この小さい町にも 奇跡はありえる」というフレーズ。それだけで泣きそうになる。